桑原対鈴駒・・・勝者鈴駒

蔵馬対呂屠・・・勝者蔵馬



第3試合・・・果たして









【炎術者】





「どうした六遊会!!怖くなってびびっちまったのか!?」


蔵馬によって無残に殺された呂屠を見て妖怪達は怒りが収まらないようだった。
負けたら負けたで容赦ない観客達・・・野次や罵声を飛ばしている。


「両チーム前へ!!」


小兎が次の試合を促す。
それでもなかなか、互いのチームは誰としてリングに上がろうとしなかった。
試合がスムーズに進まないのが嫌なのか観客の急かす声に慌てているのか、小兎はイライラしながら次にリングに上がってくる人を待った。

その時だった。


「おお〜!!是流が早くも出てきやがったぜ!!」


先程まで大人しく試合を観戦していた是流が自ら進んでリングへと上がった。
それだけで妖怪達はまた喜びの声を上げている・・・たった今まで六遊会をバカにしていたと言うのに。


「是流・・・奴が大将じゃないのか」


蔵馬が驚いたように声を発した。
あの中では一番強そうなのは悔しいが是流だと思っていた。
しかし、その大将だと思っていた是流がこんなに早く出てくるとは一体どういう事だ。
こちらの大将は幽助・・・故に幽助と是流が戦うものだと誰もが考えていた。


「って事は後の奴らはもっと強えってか!?」


そういう桑原に従って是流以外の残っている敵を見た。
サングラスを掛けたひょろっとした2人・・・しかしどう見ても残りの妖怪が是流以上の力の持ち主とは到底思えない。
人数合わせと言ったところか・・・


「いや、奴ら側の中で一番強いのは間違いない。ふざけた奴らの事だ。順番も適当に決めたんだろう」


後ろで飛影が面白そうに笑いながら是流を見て言う。
成る程、大将だからと言って最後に来るとは限らないと言う訳か・・・


「浦飯チーム前へ!!」


再び小兎の声がドームに響く。
それを合図に飛影はリングへと一瞬に上がった。


「俺が行く・・・奴は昨日嘗めた真似をしてくれたからな」


そしていつも着けている黒い服を脱ぎリング外へと投げた。


「六遊会チーム!是流!!浦飯チーム飛影!!」

「誰が出たって敵う訳ねぇんだよっ!!最初に出したあの妖気なら敵なしだ!!」



「火の妖気・・・火炎術者か・・・貴様が切ったカップの切り口を見た。鋭い刃物のようなもので切られたようだったが端が少し溶けていた。ふっ技が荒いな」

「それがどうした。ねずみ臭い邪眼師ごときにとやかく言われる筋合いはない。」


是流のその嘲笑した物言いに飛影の表情がガラリと変わる。
互いから火花が散りそうな程の言い合い。
表情では冷静でいるものの内心睨み合っている・・・

(これは・・・凄い試合になりそうだね・・・)


「始めっ!!」


小兎の試合開始の合図と共に是流は大量の妖気を放出させる。
リング一帯炎で覆い尽くされている・・・
幽助の時にやったように炎を見せ、飛影を威嚇しているのか・・・しかし、飛影は涼しげな顔で是流を見続けている。


「何だその面は・・・」


その態度が気に入らないのか是流は更に炎を出した。
それはもうリングだけに留まらず溢れ、観客の方にまで及んだ。
こちらにも飛んで来たが皆それをすんなりと避ける。
しかし力の無い妖怪達は是流のその妖火に耐えれずに骨まで残らずに溶けていく。
妖怪達の悲鳴が炎に負けない位に耳に届く・・・


「ふんっ・・・炭くずにしてやる・・・」


右手を出し手のひらに真赤な炎を出す。そしてその炎を飛影に向かってぶつけた。
それをまるで弾丸のように打っていく。飛影は素早くその攻撃を避けていった。


「開始早々の是流選手の攻撃!飛影は茫然一方です!!」


「どうだ。ねずみには一生捻りだせん妖気だろう」

「御託はいい・・・来い」

「遊びは終わりだ!!」




早いなおいっ!

開始してからまだ5分も経っていないというのにもう遊びは終わりというのか・・・何とも飽き性な奴だ。さっさと飛影を殺したいと言うのが勝っているのだろうか。


「うあああああ!!!」


大きな叫び声を発するとドームいっぱいに妖気を出した。
するとその炎は是流を包み込んだ。
そしてどんどん是流の身体の色が変化していく。
これは・・・


「あ、赤です!!燃えるような赤です!!」


是流の身体が真赤に染まっていった。
是流の身体自身がもう炎と一体化しているのだろう。


「くらえ!!!」


身体全体が真赤に染まると是流は飛影の身体をその腕で貫く。
素早い是流の動きに反応が遅れたのか抵抗する間も無くその腕を受けた。
突き抜けた途端に飛影の身体は燃えているかのように火を放ち空を舞った。


「ふっ止めを刺してやる!」


地面に身体が触れていない飛影の身体を是流は先ほどの弾丸で打ち抜く。
ぱちぱちと焼ける音をさせながら飛影の身体は地面に落ちていった。
あの飛影がこんなにあっさりと負けるのか・・・明らかに残像ではない飛影を見入る。
それは動く事無く燃え盛る炎にどんどん包まれていく。


「はぁぁっ・・・こ、こんなに簡単に・・・」


桑原達も驚きを隠せないでいる・・・それもそうだ。
普段の飛影を見ている限り、こんなにあっさりとやられると思っていないのだから。
それは自分とて同じだ。


「あ、あまりの光景に辺りが静まり返っております・・・」

「ふんっ下らん。相手にもならんな・・・」


是流はつまらなさそうに言い放つとリング外へと歩いていく。
小兎はその焼け焦げている飛影を見てカウントを言う必要が無いと思い、手を挙げた。


「しょ、勝負は一瞬にして決まってしまいました!!この勝負ろく・・・」




―――その時だった・・・・


背を向けている是流の後ろからもの凄い妖気を感じ取ったのは。
この妖気は・・・


「いい腕だ。殺すには惜しいくらいだ・・・」


飛影だった。



全員当然の事ながら生きている飛影を見て驚いている。
だが一番その衝撃が大きいのは勿論是流だろう。


「俺の妖火に耐えうる程の妖気・・・ま、まさか・・・・・」

「俺と当たったのが運のつきだな・・・」


燃え盛る炎の中で飛影は不適に笑う。
額に巻いてある布が中心から燃えるように消えていった

静かにそれは開く・・・そこに見えるのは第3の目。
邪眼だ。
その瞳が是流を映し出す・・・


「喜べっ貴様が、人間界での邪王炎殺剣犠牲者第1号だ!!」






邪王炎殺剣



「まさか・・・あの技を・・・」

「ついに・・・あの技を!?」


蔵馬とぼたんは知っているのだろうか・・・だが私はそんな名を聞いた事も無い。
ただ知らない自分からして言える事は、その技が簡単なものではないと言う事だ。
飛影の手から出ている真っ黒な炎・・・初めて見る炎だ。


「黒い炎・・・魔界の炎を呼び出したと言うのか・・・」


是流も何かを理解しているかのように全くその場から動こうとしない。
ただ驚きを隠せずに飛影が出すその魔界の炎を見入っている。


「ただ倒せばいいと言うだけのルールだ。俺自身まだコントロールしきれん。」


この島全体真っ黒な雷に包まれる。
地震でも起こっているかのように辺りは揺れているのが解る。


「悪いな手加減出来そうに無い。出来れば殺さずに済ませたかったが」

「っ!?」


「右腕だけで十分だ。見えるか?お前の火遊びとは一味違う魔力を秘めた本当の炎が。邪眼の力を嘗めるなよ!」

「う、うあぁっ!」


逃げる事も出来ない是流・・・もはや是流の死は確実であろう。
是流と飛影の妖気の差はあまりにも大きい。


「くらえっ!邪王炎殺黒龍波!!」


前に手をかざしたと思うと手から黒龍が是流に向かって飛び出した。
物凄いスピードで飛んだその龍は是流の身体事リング外へと弾き飛んだ。



まさに一瞬の出来事だった。



(す、凄い・・・これが炎殺黒龍波なの・・)

辺りはしんと静まりかえってしまってしまった。
飛影でさえ、自分の出した黒龍波の威力に驚きを見せている。
リング外に非難していた小兎が飛ばされた是流の方を向く・・・


「是流選手は・・・か、壁に・・・!?」


残っていたのは焼け焦げた死体ではなかった。
壁に付いている・・・・影だけだった。


「そ、それではカウントを・・・」

「すべて焼き尽くしてしまった・・この世に残っているのはあの影だけだ・・・」

「ということはカウントしても無駄ですね・・・しょ、勝者飛影!!」


焼けてしまった腕を見る飛影。
どうも飛影もタダでは済んでいないようだ。

『右腕だけで十分だ・・・』

その言葉を思い出す。
(まさか・・その右腕を犠牲に・・・・)


「しえ〜!ざまあみやがれ!!スカッとしたぜ!これで2対1だ!と、言いてぇところだがとてもそんな気分にならねぇ・・・飛影はいつ敵に回っても可笑しくないし、それにあんなすげぇ技が・・・!」

「安心しろっこの大会が終わるまではこっちの側で居てやる。俺の炎殺剣も完璧では無いからな・・・ぐっ・・・!」


やはりその腕が痛むのか飛影は腕を隠しながら戻った。
桑原は気づいていないようだが、蔵馬はどうやら気づいているようだ。
この事が・・・これからどう響いてくるのだろうか。





「是流までもがこんなにあっさりと殺されるとは・・・」

「じょ、冗談じゃねぇ俺はもう抜けるぜ!楽に殺しが出来るって言うから来たんだ。」

「待てよ!逃げるのか!?」


残りの弱そうな妖怪2人はやはりただの人数合わせであった。
こちら側の戦いを見て敵わないと判断したのだろう・・・試合を放棄して逃げる2人。
鈴駒は制止を求めるがそれを聞きもせずに走っていく・・・









「ぎゃあああああああっ!!!」


暗闇で先が全く見えないそこから先ほどの妖怪2人の叫び声が聞こえてきた。
それと同時に殴られるような鈍い音。
すぐにしんとなった時、ざっざっとこちらに向かって歩いてくる音がした。


「ふ〜眩しいな・・・」

「酎・・・」


鈴駒がすかさず呼んだ名は酎。
随分と体格の大きい男だ。
片手にはさっき逃げて行った妖怪2人の死体・・・そしてもう片手には酒瓶が握られていた。
どうやら六遊会チームの補欠のようだ。
手にしている酒を一気に飲み干すと後ろに投げた。


「遊びは危ねぇからおもしれーのによ。白けさせる真似しやがってよ〜」


すたすたとリングに向かって歩いていく酎。
そしてリングに上がろうとしたがふらついて地面に尻餅を着いてしまった。
それにしても酎と言う男、何とも凄い酒の匂いだ。遠くに離れているこちらにまで匂いが届く。
一体どれほどの量を飲んだというのか・・・


「さ〜!これから遊びをた〜っぷり楽しもうぜ〜」



何この酔っ払い・・・

しかし、ただの酔っ払いにしては妙な寒気を感じる。
こんなに飲んで酔っ払っていると言うのに本領を発揮させる事が出来るのだろうか。
決して是流より妖気が強い訳じゃない。

それなのになぜ・・・


「おい実況の姉ちゃん、ちょっとこっちおいで〜」

「はっわ、私ですか・・?」

「何してる!!早く来い!!」


リングの上に座り込み小兎を手招きする酎。
”はいぃっ!!”と勢いよく返事をすると小兎は恐る恐る酎に近づいた。


「な、何でしょうか・・?」

「あ〜不慮の事故で2人は死んだ。この場合ルールはどうなるんだぁ?」


臭いゲップと共に言う酎。
その臭さに小兎はたまらなく鼻を摘み説明する。

どうやら残ったチームのメンバーだけでこちらと戦わなければいけないようだ。
ともなればあの男対こちら自分を含め幻海・幽助の3人だ。
ただし幽助はまだ未だに寝ている。


「浦飯チーム副将前へ!!」

「ちょっと待ってくれよ!!誰が出るんだよっ蔵馬や飛影は戦ったし、俺はとっくに終わってるし・・・と、なるとこいつらか・・!?」


指し示されたのは私と幻海の2人。
(私達のどちらかで戦えって事かな・・・)

幻海が出ないのなら自分が出てもいいと思っている。
だがその必要はなかった。
辺りが急にざわめく・・・そしてそこに幽助の姿は無かった


「すんげ〜酒の匂いだ。お陰ですっかり目が覚めちまった・・・」


是流の妖火でも起きなかった幽助が・・・起きた。
(是流で満足出来ない幽助が選んだのは酎なんだ・・・やっぱ只者じゃないよね)

酎の奇妙な妖気に戸惑う自分達と違って全く恐怖心も抱いていない幽助。
それどころか早く戦いたい・・・そんな好奇心しか湧いていない様子だ。
修行して強くなった浦飯幽助。
だが、幽助の修行も完璧ではない。
(油断しちゃダメだからね・・・幽助)


「あ〜・・戦う前に一つお前に言っておく。」


宣戦勧告と言ったやつだろうか。
小兎が手にしているマイクを取ると幽助にびしっと指を差した。


「俺が弱いのはじゃんけんだけだ。喧嘩は強えぇ!本当に強えぇんだ!!」

















し―――――――――――ん・・・・・・



マイクで叫んだ酎の声だけが大きく響いた。
他の妖怪達は呆れたような声を出している。
小兎はすかさず自分のマイクを取り返すと持ち直した。


「え、え〜今のコメントを説明致します。どうやら六遊会チームは選手をじゃんけんで決めたと言うエピソードがあり、補欠とは名ばかり!実力では六遊会チームでNO1と言っているのです!!」

「そのとーーーり!!」

「以上実況の小兎でした♪」


そう言って頭をペコリと下げた。
何でこの人には酎の言っている事が理解できるのだろう・・・(遠い目)


「解った解った!!お前が強いのはよーーくわかった!だからさっさとおっぱじめようぜ〜俺はもう待ちきれねーんだよ」

あっ!!手前ぇ俺の強さを信じてねぇな!?」

「お、おいおい・・・」


これではもう一向に試合は始まらない。
それどころか観客にバカにされ、腹が立ったのか観客席にまで走って行ってしまった。


「さっきもあの姉ちゃんが言ってただろ!?俺が弱いのはじゃんけんだけなんだ!!さっきもなぁ!俺はあん時パーを出そうと思ってたんだ、なのに手が勝手にチョキ出してたんだっ」


一人の妖怪の首を絞め必死に訴える酎。
すっかり悪酔いしてしまっている・・・


「なぁあるよな?そう言う事って」

「あ、ありますあります!!(涙)」



何だかこう見ているとこの妖怪が可愛そうに見えてくる・・・

そして客の酒瓶を一つ盗むと再びリングへと戻って来た。
まだ納得していないのかその酒をぐいぐいと飲み始める。


「いいか!?先に言っておく!俺の技は酔拳だっ酔う程に強くなる!その不規則な動きを相手を翻弄させる技だ・・・嘗めてかかんなよ!!!








「開いた口がふさがんないやねぇ」

「わざわざ自分の能力を説明してやがる・・・脳みそでうなぎでも泳いでんじゃねぇのか?」


全くその通りであると思う。
鈴駒も呆れたように手で顔を覆っている。


「めでてー奴だぜ。だがよっただの酔拳じゃ芸がねぇな。お前にしか出来ないとっておきの技があるんだろ?」

「・・・・」


この浦飯の一言で酎の酔っ払った表情が一気に変わった。
殺気を込めた・・・鋭い眼差しに。


「じゃなきゃ、おもしろくねーよな」

「いい目だ・・・そんな目は久しぶりに見た。これは楽しめそうだな・・・・」


ふっと笑ったかと思うとゆらりと動く。
不規則で早い動き・・・やはり只者ではない。
ぴたっと動きを止めると体中から妖気を放出させる。


「それでは始め!!」

「浦飯幽助・・・果たしてどこまで俺のスピードに着いてこれるかな・・・」

「!?」


もの凄いスピードで幽助の周りを回る。
ふらふらとしたその足取りは動きをなかなか抑えにくい。


「自己流の技だ。あれは捕らえにくいぞっ」


幽助は酎の動きを見るのがやっとと言った感じだ。
さっきと全く違う酎の表情・・・そして今の動き。

(確かに強いって言うのは嘘じゃないみたいね・・・)

そして目で追っている浦飯に酎は素早く蹴りを入れる。
それを何とか防ぐが一瞬で腹にパンチを食らった。
その強さに上に飛んだ幽助を後ろからもう1発殴る。


「5発・・・入ったな・・・」

「お前見えるのかよ!?」


ぽそっと言った言葉を聞いていた桑原は意外そうにこちらを見た。
特に飛影と蔵馬は試合が始まってからと言うものずっとこちらを疑っている。

(あんまこっち見ないで欲しいんだけどね〜演じてるのも結構疲れるんだから)

喋らない方がいいかと思いつつもつい言葉に出してしまう。
このままではもうすぐバレるなと諭す。


「勝負はまだだぜ!!」


倒れたと思い、直ぐに立ち上がった幽助は攻撃を繰り出す。
しかし、間一髪のところを酎は避けていく。
そして再びあの不規則な動きで幽助を翻弄させる。
今度は瞬時に幽助の後ろに回り、蹴りを入れた。
そのあまりの威力に幽助の身体はリングを飛んで壁へと激突する。

壁をも破壊する酎の蹴り・・
(何とかガードはしてたみたいだけど・・・・)

なかなか起き上がって来ない幽助を不安そうに見る。


「俺はこんなんじゃねぇ!!」


再び小兎のマイクを借りて叫ぶ酎。


「説明致します!先ほども言ったように酔拳は酔う程に強くなる!従ってこの程度の酔い方では本来の力の半分も出ていないと言っているのです!!」

「そのとーり!!何だお前ぇとは結構気が合いそうだな」

「そうですね〜♪」


何だかすっかり打ち解けてしまっている酎と小兎。
一緒に座り込んで頭をわしわしと撫でられている。
しかしカウントを取るのを忘れている小兎は慌ててカウントをする。


「どうした浦飯!俺のとっておきの技を見ないうちにくたばる気か?」


挑発するように叫ぶ酎。
それがまるで合図とも言うように幽助は起き上がった。


「危ねぇ危ねぇ。ガードしてなきゃ死んでたぜ。一瞬の隙が死を招くってか・・・」

「その通りだ・・・」


腕を回しながら言う幽助。
生か死かと言った状況に立たされながらもなぜこんなに楽しそうに笑うのだろうか・。


「だが何でだろうな・・・すげ〜楽しいんだよ。お前もそうか?」

「あぁ・・・俺もバトルマニアだ。」


その言葉を聞いて幽助はにっと笑うと霊丸を撃つ為指に霊気を集め始める。
人差し指に集まる光・・・酎はそれを動く事無くじっと見ていた。


「霊丸!!」


手首をもう片方の手で支え、霊丸を出す。
それは酎を狙う訳でもなく、外れた訳でもなくドームの先へと当たった。
砕けたドームの破片が下に落ちていく・・・・


「今のが俺の十八番霊丸だ。どうやら1日4発が限度らしい。そん代わり威力は霊力を上げれば上げる程増していくぜっ」


酎の次は今度は幽助が自分の必殺技の説明をし出す。
何を考えているのかさっぱり解らない。


「はーーーっはっはっはっは!馬鹿だぜお前、自分の能力を説明するとはな・・・」


愉快そうに笑う酎だったが顔色が一変するとリング外に走り溜まったものを吐き出した。
どうやら随分酒を飲んだらしい・・・酒の回りが早いようだ。
口元を拭うと酎はすっきりしたように幽助を見た。


「ここいらが潮時か・・・よしっとっておきの技を見せてやろう・・・」











「なっ!?あの技をついに出すのか!?」


鈴駒は驚いたように酎を見ている。
仲間である鈴駒が驚く程の技だと言うのか。

後ろに腕を回す酎。
一体何をするつもりなのだろうか・・・幽助は身構える。














その必殺技とは・・・












*******後書き*******
あああ〜〜疲れる・・・


次の回でようやく六遊会の話が終了しますね!
まだもうすこし残ってますがね;;
頑張ります!!